コラム

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2023.07.18

学校法人の資産運用を考える38 適した金融商品は何か?①投資信託とは?

学校法人の資産運用を考える粟津 久乃

債券だけで運用する場合でも、株式で運用する場合も

投資手法には「個別銘柄」の債券や株式を直接買うという選択肢や

ファンド形式になっている「投資信託」「ETF」買うという手法があります。

リスクの取り方のところで、どちらが学校法人にとって良いか?について

説明をさせて頂きましたが(↓詳細は下記をご覧ください)

学校法人の資産運用を考える22リスクは何か

今回は、具体的に学校法人が何のツールで資産運用すべきなのか、という観点も含め

数回にわたり金融商品を説明していきます。

今回は「投資信託」です

◆投資信託とは

投資信託は投資家から集めたお金を一つの大きな資金として纏めて、

運用のプロであるファンドマネージャーが株式・不動産・債券などの

様々なものに投資し運用を行い、その成果としての利益を

投資家の皆様に還元する金融商品です。

ファンドと呼ばれることがあります。

                       三菱UFJ信託銀行より

投資する人々は、好きな金額で投資をして、平等にファンドマネージャーが運用、

その結果も投資金額に応じて分配金を受け取ることができます。

受取る収益を投資信託の場合は分配金といいます。

なお株式の場合は配当金といいます。

また、基準価格と呼ばれる、投資信託の値段ですが、

これは1日に1回価格が計算されて公表されます。

株式の場合は市場が開いている間は、常に値段がわかるのとは違います。

そのため、例えば売却しようとした場合、投資信託は証券会社の売却の

締め切り時間よりも、遅れて価格が決定するため、いくらの価格で

売れるのかはわからず意思決定をします。

株式の場合は、指値ならば、希望価格、成り行きならば、その時点の値段を

見ながら考えることができます。

◆仕組み

投資信託の仕組みはよくご理解いただく必要があります。

なぜなら、手数料に関係するからです。

投資家から集めた資金を運用するには3つもの会社で分担します。

                                三菱UFJ信託銀行より

販売会社…投資信託の募集・販売を担当。投資家から資金を集め、顧客に接します。銀行や証券会社。

運用会社…資金を元にファンドマネージャーがファンドを組成し、運用の指図を受託銀行にします。

受託銀行…運用会社の指図のもと受託した資金を株式や債券などに投資し、資金管理を行います。信託銀行。

◆投資信託の手数料

投資信託の手数料は3つあります。

申込手数料…投資信託を購入するとき、顧客が販売会社(銀行や証券会社)に支払う販売経費や事務コストです。

信託報酬…投資信託を保有している間にかかる、運用・管理にかかる費用です。毎日年間の手数料の日割りしたものが信託財産の中から差し引かれていきます。

信託財産留保額…投資信託を換金するときに顧客が負担する費用です。この費用がない場合もあります。

ここからがポイントで、これらの手数料の行先を見ていきましょう。

申込手数料⇒販売会社(銀行・証券会社)

信託報酬⇒販売会社・運用会社・受託会社

信託財産留保額⇒ファンドに残る資金

となります。

では例を見ていきましょう。某銀行で2023年6月にランキング1位になっている商品の手数料のページです。

購入手数料(販売手数料)は販売会社が勝手に決めることができます。

これが無料のものを「ノーロード」とよびます。

上記の商品の場合、購入手数料は1億円未満の購入の場合、

3.3%と書かれています。

運用管理費費用(信託報酬)については1.903%程度かかるようです。

3社の取り分がかかれています。

初年度は5%以上の利益がでないと手数料負けしてしまいますので、

どんなに現状のパフォーマンスが良くても手数料控除後で利益が出るか、

を考えることは大事です。

ちなみに当該ファンドのHP上の騰落率の詳細を見ると販売手数料は控除されていません

ので実績を見るときには、前提をよく見ることも大事です。

 

こういった手数料に関しては、月次レポートや目論見書の最後のほうに当該資料は記載があることが多いです。

ここの信託報酬手数料において、どこかの取り分が

とても高いなどの場合がありますので、営業マンが本当に良い商品だと

思って進めてきているのか、

同じような投資先の商品が同じ証券会社内にあるのに、

なぜか、一つのものを推奨してくるのか、

それぞれの手数料を比較しながら考えてみるのも大切でしょう。

◆投資信託のメリット・デメリット

〇メリット

・少額から始められる

・運用のプロに任せられる

・分散投資でリスクを軽減できる商品もある

・個人では投資しづらい投資先への投資を可能とする

〇デメリット

・元本保証ではない

価格が日々変動します。公社債等の商品もありますが、元本保証ではありません。

・手数料がETFと比較すると高い

3社の取り分がある分、信託報酬が高いことなどがあります。

・分配金をファンドが決められるので、実体の利回りと乖離することがある

以上となります。

投資信託、と一言にいっても、沢山の種類の投資信託があり

日本の投資信託は約5400本あると言われています。

それだけに、よく仕組みを知る必要があるでしょう。

次回は違う投資手法をみていきましょう。

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