2019.06.14
学校法人資産の運用を考える(1) 『法人の資産運用の二極化』の真相
学校法人の資産運用を考える粟津 久乃
超低金利が続く中、公益法人の資産運用は『二極化』が進んでいるといわれています。
二極化の道は、下記の2つのパターンに分かれていっております。
① 資産管理型法人…現在の環境下においても、頑なに預金・日本国債やその他公社債を保有し続ける法人
② 運用型法人…少しでも高い利回りを求めて既に社債・仕組債・外債・株式などへと投資を広げる法人
この二極化の実態は『新しい公益法人・一般法人の資産運用』の法人に対する資産運用アンケートの分析結果からも、明らかな現象としてみてとれます。
しかしながら、近年、①のような預金・日本国債やその他の公債を保有し続ける管理型法人が資産運用の問題を抱き、高い関心を持っていることに、驚かされる場面が少なくないです。公益法人協会で開催される資産運用セミナーへの参加法人や弊社への相談・紹介の状況からも、それは顕著であります。
これらの管理型法人の多くは、長らく日本国債等で運用してきましたが、国債が償還を迎えたのち、再投資先に困り、資金が預貯金に滞留してしまっている、という似通った状況におかれております。意外にも、最近このような法人から、聞こえてくる声は『もっと超長期の国債での運用か、ポートフォリオ運用などのその他の資産運用選択肢かで研究している、迷っている』、『資産の一部で株式を投資対象とするETF(上場投資信託)の取得を検討している』、『従来の保守的な運用を続ける部分、ポートフォリオ運用など一定のリスクをとる部分、に分けての運用を役員に提案してみようと考えている』等々の質問や相談が多く、とても驚かされます。
また、これらの①法人は、もともとリスク回避志向が非常に強いです。それゆえ、②のような資産運用型法人(社債、仕組債、外債、株式などへと既に投資を広げた法人)に比べて、資産運用やそのリスクに対して合理的な裏付け・ロジックをより重視する傾向が強いように思われます。言い換えれば、②の運用型法人の方は、リスキーな個別銘柄運用をなかなか卒業できないでいます。なぜなら、歴代あるいは現在の運用担当者などが個別の社債、仕組債、外債、株式、その他の金融商品を彼らの裁量で選別する運用を続けてきたので、そのスタイルを軌道修正(あるいは自己否定)するのは難しいからです。その一方で、合理的な裏付け・ロジックを重視し、個別銘柄運用の“手垢”に染まったことのない①の管理型法人の方は、よりスムーズに、ポートフォリオ運用など新しい資産運用スタイルに移行してゆく可能性も見えてきたと言えます。『新しい公益法人・一般法人の資産運用』の資産運用アンケートの分析結果によれば、①の超保守的な管理型法人は全体の約1/3の割合を占めます。今後はこのような管理型法人の“巻き返し”も大いに期待されるのではないでしょうか。
以上
① 資産管理型法人…現在の環境下においても、頑なに預金・日本国債やその他公社債を保有し続ける法人
② 運用型法人…少しでも高い利回りを求めて既に社債・仕組債・外債・株式などへと投資を広げる法人
この二極化の実態は『新しい公益法人・一般法人の資産運用』の法人に対する資産運用アンケートの分析結果からも、明らかな現象としてみてとれます。
しかしながら、近年、①のような預金・日本国債やその他の公債を保有し続ける管理型法人が資産運用の問題を抱き、高い関心を持っていることに、驚かされる場面が少なくないです。公益法人協会で開催される資産運用セミナーへの参加法人や弊社への相談・紹介の状況からも、それは顕著であります。
これらの管理型法人の多くは、長らく日本国債等で運用してきましたが、国債が償還を迎えたのち、再投資先に困り、資金が預貯金に滞留してしまっている、という似通った状況におかれております。意外にも、最近このような法人から、聞こえてくる声は『もっと超長期の国債での運用か、ポートフォリオ運用などのその他の資産運用選択肢かで研究している、迷っている』、『資産の一部で株式を投資対象とするETF(上場投資信託)の取得を検討している』、『従来の保守的な運用を続ける部分、ポートフォリオ運用など一定のリスクをとる部分、に分けての運用を役員に提案してみようと考えている』等々の質問や相談が多く、とても驚かされます。
また、これらの①法人は、もともとリスク回避志向が非常に強いです。それゆえ、②のような資産運用型法人(社債、仕組債、外債、株式などへと既に投資を広げた法人)に比べて、資産運用やそのリスクに対して合理的な裏付け・ロジックをより重視する傾向が強いように思われます。言い換えれば、②の運用型法人の方は、リスキーな個別銘柄運用をなかなか卒業できないでいます。なぜなら、歴代あるいは現在の運用担当者などが個別の社債、仕組債、外債、株式、その他の金融商品を彼らの裁量で選別する運用を続けてきたので、そのスタイルを軌道修正(あるいは自己否定)するのは難しいからです。その一方で、合理的な裏付け・ロジックを重視し、個別銘柄運用の“手垢”に染まったことのない①の管理型法人の方は、よりスムーズに、ポートフォリオ運用など新しい資産運用スタイルに移行してゆく可能性も見えてきたと言えます。『新しい公益法人・一般法人の資産運用』の資産運用アンケートの分析結果によれば、①の超保守的な管理型法人は全体の約1/3の割合を占めます。今後はこのような管理型法人の“巻き返し”も大いに期待されるのではないでしょうか。
以上