コラム

column

2023.09.07

法人資産の運用を考える(58) 法人資産運用アドバイス業務の15年間を振り返って(2) 株式市場が法人ポートフォリオに対して果たす役割の重要性

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

著者の経営する会社は公益法人、学校法人などの法人資産運用アドバイス業務を開始して15年になる。

15年間で得た教訓についてシェアしたい。それぞれの法人の資産運用の参考にしていただけることがあれば幸いである。

時計, お金, 成長, 育つ, 時間, 時間管理, 財務管理, 概念, 考え

弊社顧客のポートフォリオは、グローバル株式市場全体、グローバルREIT市場全体、グローバル債券市場全体の価格変動と利子配当利回りのそっくり複製と享受を目指すETF(上場投資信託)の組合せによって構成されている。

そして、ETF分配金(原資はそれぞれの市場から生じ続ける利子、配当金)を除いた、運用元本の推移について、15年間を通じて、一定の傾向が有ることを再確認している。

それは、全ての顧客ポートフォリオにおいて、長期になれば成るほど、グローバル株式市場全体を複製するETFの運用元本の価格上昇が顕著になってくるということである。

例えば、2023年6月末時点、全ての顧客ポートフォリオ内において、株式ETFの分配金を除く、取得金額に対する運用元本の上昇率の実績は約20%~100%近くを示している

(このバラつきは顧客ごとのポートフォリオ運用開始時期の違いと、次に述べる追加投資の有無・大きさの違いによるものである)。

この上昇率の実績は、単純に、ETF時価評価を取得金額で割り算したものである。なので、今までに途中の追加投資などが有れば、分母である取得金額が増えるので、上昇率の実績は薄められてしまうという影響も含んだものである。

それでも、このような高い上昇率を示す株式ETFの特徴は、どの顧客ポートフォリオにおいても、他の債券ETFなどと比較して、突出するものである

特に昨今、米国の利上げや日銀の政策転換観測などで、債券ETFの価格が下落、評価損に転落する中で、全ての顧客のポートフォリオにおいて、その運用元本全体(ETF分配金を除く)の時価評価を持ち上げているのは、株式ETFであり、もしも株式ETFが入ってなければ運用元本の時価評価は低いものになってしまうのである。

つまり、弊社が15年間で得た教訓(再認識したと言っても良い)とは、法人のポートフォリオ内で相応の割合(少なすぎない割合)、株式市場全体に投資しておくことは(株式の個別銘柄に投資することはお勧めしないが)、運用収益となる利子配当収入を受け取った残りの運用元本の長期的な保全の為には非常に重要であるということである。

株式市場は、実証データからも、長期的には高い収益性を示すことが知られている。

これは(1)配当金以外の元本で長期キャピタルゲインを顕在化させるという特性に由来するものである。更に、(2)株式配当金自体が少しずつ増えてゆくという増配効果も併せ持つことが知られている。

そして上記(1)(2)の特性・効果は、他の債券などでは観察することは難しい。

このような株式市場の特性・効果を、法人の資産運用(ポートフォリオの一部に組み入れ)や長期的な事業財政基盤の充実の為に生かさない手は無い。

キャピタルゲインによって長期的に運用元本を減らさない、少しずつでも運用元本を時価ベースで膨らませてゆくことは、事業基盤の安定やイザという時の緊急支出に対応できるバッファーを育ててゆくことにつながる。

また、増配効果によって長期的に少しずつでもインカム収入自体も増やしてくゆくことは、将来の年度事業の安定と更なる事業拡充の為の原資に繋がってゆくのである。

ARCHIVES

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

お問い合わせ

CONTACT

ご記入内容をご確認の上、「送信する」ボタンを押してください

御法人名(必須)

御担当者様(必須)

郵便番号

住所

電話

FAX

メールアドレス(必須)

メールアドレス(※再度入力)(必須)

お問い合わせ内容(必須)