2019.08.05
学校法人資産の運用を考える(3) 『現在の法人事業、将来の法人事業についての考察』
学校法人の資産運用を考える粟津 久乃
運用収入と運用元本とを比べた場合、どちらが法人にとって、より重要でしょうか?
短期的な収入(金利)を投資判断にしやすい法人を見受けますが、、、答えは、両方とも同等に重要であります。
2つが同等な理由は・・・
1) 運用収益(利子・配当収益)は、現在の事業支出(現在の法人の存在意義)をサポートするものであるため。
2) 運用元本は、将来にわたる事業支出(将来にわたる法人の存在意義)の基礎となるものでああるため。
学校法人にとって、この現在と将来のいずれもが重要であるので、そもそも(本来的には)、目先の運用収益を追求するあまり、長期的にみて、運用元本の質が怪しくなり得る投資対象に法人資産を晒してはいけないのです。
また、逆に運用元本の安全性に固執するあまり、健全なかたちでの運用収益の獲得さえも放棄してはいけないのです(一見、安全第一のようにみえる運用手法も、時間の経過と共に、元本の取り崩しにより事業の維持を困難にし、結果、法人の将来を危うくするリスクを抱えることになります)。
結局のところ、ある時点における、学校法人という、その事業を将来に渡って、支える原資は、利子・配当収益と運用元本(時価)との総和であるという事実からは逃れることはできないのです。
すなわち、現在から将来にわたって、この総和を各学校法人が可能な範囲でなるべく大きくするように努めることが法人資産の管理者としての責務であるという、たった一つの真実に向き合わざるを得ないのです。
弊社の著者『新しい公益法人・一般法人の資産運用』での資産運用アンケートの分析結果では、このような利子・配当収益と運用元本(時価)との総和の縮小均衡が引き起こした、法人管理費カット→事業規模縮小→法人資産取り崩し支出などの“負のスパイラル現象”を既に経験している法人や、将来そのような事態が起こると身構えている法人がかなりの割合で存在していることが判明しております。
法人資産の運用目標とは、現在の法人の事業と将来の法人の事業とをバランスさせることであります。
言い換えれば、現在から将来にわたる運用収益(利子・配当)と将来の運用元本(時価)との総和が縮小均衡に陥らないよう、各学校法人が可能な範囲でなるべく大きくするようにバランスさせることです。
もっと言えば、運用収益(利子・配当収益)は事業年度ごとに安定確保すべき短期的な目標でありますが、運用元本(時価)については長期的かつ資産全体的な目標でも構わないということであります(運用元本(時価)を長期的かつ資産全体的な目標と捉える方が、無理が無く、我々の常識に照らしても健全といえます。一方、運用元本を短期目標であるかのように曲解し、一定の条件が揃えば、額面で償還されるにすぎない債券運用に固執すると、かえって無理をすることになります)。
このように運用目標が元来からの定まっている以上、あと考えることは、目標に対する手段をどうするかの問題に過ぎないのです。すなわち、金利・為替・株価などが気まぐれに変化を続けたとしても、万が一、超低金利が継続しても、急激な超円高が起こっても、株式相場の大暴落が起こっても、短期的にも長期的にも学校法人運営に支障をきたす可能性が最も低いと考えられる資産運用の考えとは何か?また、具体的な運用手段・スキームとしては、どのようなものか?これらが、学校法人資産の管理者として、今度問い続けていかなければならない命題であります。
つづく
短期的な収入(金利)を投資判断にしやすい法人を見受けますが、、、答えは、両方とも同等に重要であります。
2つが同等な理由は・・・
1) 運用収益(利子・配当収益)は、現在の事業支出(現在の法人の存在意義)をサポートするものであるため。
2) 運用元本は、将来にわたる事業支出(将来にわたる法人の存在意義)の基礎となるものでああるため。
学校法人にとって、この現在と将来のいずれもが重要であるので、そもそも(本来的には)、目先の運用収益を追求するあまり、長期的にみて、運用元本の質が怪しくなり得る投資対象に法人資産を晒してはいけないのです。
また、逆に運用元本の安全性に固執するあまり、健全なかたちでの運用収益の獲得さえも放棄してはいけないのです(一見、安全第一のようにみえる運用手法も、時間の経過と共に、元本の取り崩しにより事業の維持を困難にし、結果、法人の将来を危うくするリスクを抱えることになります)。
結局のところ、ある時点における、学校法人という、その事業を将来に渡って、支える原資は、利子・配当収益と運用元本(時価)との総和であるという事実からは逃れることはできないのです。
すなわち、現在から将来にわたって、この総和を各学校法人が可能な範囲でなるべく大きくするように努めることが法人資産の管理者としての責務であるという、たった一つの真実に向き合わざるを得ないのです。
弊社の著者『新しい公益法人・一般法人の資産運用』での資産運用アンケートの分析結果では、このような利子・配当収益と運用元本(時価)との総和の縮小均衡が引き起こした、法人管理費カット→事業規模縮小→法人資産取り崩し支出などの“負のスパイラル現象”を既に経験している法人や、将来そのような事態が起こると身構えている法人がかなりの割合で存在していることが判明しております。
法人資産の運用目標とは、現在の法人の事業と将来の法人の事業とをバランスさせることであります。
言い換えれば、現在から将来にわたる運用収益(利子・配当)と将来の運用元本(時価)との総和が縮小均衡に陥らないよう、各学校法人が可能な範囲でなるべく大きくするようにバランスさせることです。
もっと言えば、運用収益(利子・配当収益)は事業年度ごとに安定確保すべき短期的な目標でありますが、運用元本(時価)については長期的かつ資産全体的な目標でも構わないということであります(運用元本(時価)を長期的かつ資産全体的な目標と捉える方が、無理が無く、我々の常識に照らしても健全といえます。一方、運用元本を短期目標であるかのように曲解し、一定の条件が揃えば、額面で償還されるにすぎない債券運用に固執すると、かえって無理をすることになります)。
このように運用目標が元来からの定まっている以上、あと考えることは、目標に対する手段をどうするかの問題に過ぎないのです。すなわち、金利・為替・株価などが気まぐれに変化を続けたとしても、万が一、超低金利が継続しても、急激な超円高が起こっても、株式相場の大暴落が起こっても、短期的にも長期的にも学校法人運営に支障をきたす可能性が最も低いと考えられる資産運用の考えとは何か?また、具体的な運用手段・スキームとしては、どのようなものか?これらが、学校法人資産の管理者として、今度問い続けていかなければならない命題であります。
つづく