2020.03.02
学校法人資産の運用を考える(10) 番外編:パニック時における資産運用チェック(1) 運用収入は安定的か? 運用元本の落ち込みは一時的か?
学校法人の資産運用を考える粟津 久乃
3月初旬の今、世界的なコロナウィルスの感染拡大 ⇒ 経済・企業活動への影響懸念から、世界的に株式、REIT、債券金利、為替が大きく動き始めています。前回までは、法人の『一般常識で理解できる資産運用の原理原則(1)』について、解説してきましたが、いったん中断して、パニック時の資産運用チェック項目について触れてみたいと思います。
第1に、過去も将来も、資産運用には、必ずパニックは付いてまわる、切り離すことの出来ないものである、ということです。何人も、パニック時だけを都合よく避けて、資産運用を続けることは出来ません。甘んじるしかないのです(運用収入を年度事業のサポート、あるいは中長期的な事業基盤と位置付けている学校法人の場合は、特に、です)。今回のパニックのきっかけが、コロナウィルスだっただけの話であり、過去の記憶に新しいものでは、リーマンショック、東日本大震災、ギリシャショック・ユーロ危機など、様々なきっかけでパニックは繰り返されています。
第2に、誰にも予測できないことである、ということです。今回のコロナウィルスの感染拡大がどこで止まるか? 金融市場のパニックは何処まで行けば止まるか? などについて、プロ / アマ、評論家、メディアを含めて誰も判らない状況であることは、毎度のパニックでの共通点でもあります。
第3に、いずれは終わることである、ということです。今回のパニックについても、予測できることは、いつかこの混乱も収束を迎えるであろうということであります。おそらく、人類の滅亡や世界経済の終焉までには至らないのではないか、ということであるのです。
次に、以上の前提で、各法人が実施する資産運用が以下のチェック項目をクリアするか、検証してみて欲しい項目です。
(1) 今後、パニックが続いたとしても、運用収入は安定的か?
株式やREITの下落、金利の低下、円高などが続いたとしても、年度事業のサポートする運用収入が比較的安定していれば、パニックの嵐が過ぎ去るまで、やりすごすことができます。
ただし、今のところ運用収入に影響が無くても、パニックが長引いた場合、徐々に業績悪化⇒減配や格下げ・デフォルト、あるいは金利低下⇒再投資利回りの低下、などの影響を大きく受ける資産内容・偏りになっていないかのチェックも必須であります。
(2) パニックによる、資産価格の下落は一時的なものであると、客観的に言えるか?
パニックの嵐が過ぎ去れば、復元・回復する性格の“一時的な落ち込み”であれば、法人の中長期的な事業基盤は、依然として守られていると言えます。
ただし、それが単に市況に連動した一時的な落ち込みなのか、個々の株式やREITの業績悪化あるいは個々のファンドマネージャーの運用失敗による“復元しない恐れのある落ち込み”なのか、では大きく異なります。後者であれば、中長期的な事業基盤は毀損してしまうことになります。また、円安などの為替変動のみに期待したクーポン・価格の回復は、個々の株式やREITの場合と同様な、“運”を必要とすることにも留意が必要です。
以上の(1)(2)のチェック項目について概ね「イエス」であれば、どんなパニックが来ようとも、嵐が過ぎ去るのを待つだけなのです。
また、(1)(2)のいずれか、あるいは両方が「ノー」の学校法人には、今後の改善策を考える為の問題点を全てあぶりだしてくれるのが、今の『パニック』という機会なのだと捉えて欲しいものです。
第1に、過去も将来も、資産運用には、必ずパニックは付いてまわる、切り離すことの出来ないものである、ということです。何人も、パニック時だけを都合よく避けて、資産運用を続けることは出来ません。甘んじるしかないのです(運用収入を年度事業のサポート、あるいは中長期的な事業基盤と位置付けている学校法人の場合は、特に、です)。今回のパニックのきっかけが、コロナウィルスだっただけの話であり、過去の記憶に新しいものでは、リーマンショック、東日本大震災、ギリシャショック・ユーロ危機など、様々なきっかけでパニックは繰り返されています。
第2に、誰にも予測できないことである、ということです。今回のコロナウィルスの感染拡大がどこで止まるか? 金融市場のパニックは何処まで行けば止まるか? などについて、プロ / アマ、評論家、メディアを含めて誰も判らない状況であることは、毎度のパニックでの共通点でもあります。
第3に、いずれは終わることである、ということです。今回のパニックについても、予測できることは、いつかこの混乱も収束を迎えるであろうということであります。おそらく、人類の滅亡や世界経済の終焉までには至らないのではないか、ということであるのです。
次に、以上の前提で、各法人が実施する資産運用が以下のチェック項目をクリアするか、検証してみて欲しい項目です。
(1) 今後、パニックが続いたとしても、運用収入は安定的か?
株式やREITの下落、金利の低下、円高などが続いたとしても、年度事業のサポートする運用収入が比較的安定していれば、パニックの嵐が過ぎ去るまで、やりすごすことができます。
ただし、今のところ運用収入に影響が無くても、パニックが長引いた場合、徐々に業績悪化⇒減配や格下げ・デフォルト、あるいは金利低下⇒再投資利回りの低下、などの影響を大きく受ける資産内容・偏りになっていないかのチェックも必須であります。
(2) パニックによる、資産価格の下落は一時的なものであると、客観的に言えるか?
パニックの嵐が過ぎ去れば、復元・回復する性格の“一時的な落ち込み”であれば、法人の中長期的な事業基盤は、依然として守られていると言えます。
ただし、それが単に市況に連動した一時的な落ち込みなのか、個々の株式やREITの業績悪化あるいは個々のファンドマネージャーの運用失敗による“復元しない恐れのある落ち込み”なのか、では大きく異なります。後者であれば、中長期的な事業基盤は毀損してしまうことになります。また、円安などの為替変動のみに期待したクーポン・価格の回復は、個々の株式やREITの場合と同様な、“運”を必要とすることにも留意が必要です。
以上の(1)(2)のチェック項目について概ね「イエス」であれば、どんなパニックが来ようとも、嵐が過ぎ去るのを待つだけなのです。
また、(1)(2)のいずれか、あるいは両方が「ノー」の学校法人には、今後の改善策を考える為の問題点を全てあぶりだしてくれるのが、今の『パニック』という機会なのだと捉えて欲しいものです。