コラム

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2025.02.13

法人資産の運用を考える(75) 今後の運用担当者と法人役員が理解、取得するべき運用知識と運用スキル(2) 普遍的、本源的な運用知識(金融市場(全体)は、どのように機能し続けているのか?)

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

著者は、今後の運用担当者と法人役員が理解、取得するべき運用知識と運用スキルとは

(1)グローバルの様々な金融市場全体に分散投資するという普遍的、本源的な運用知識

(2)それらの金融市場を組み合わせた(基本)ポートフォリオのマネジメント・スキル

というたった2点に絞り込めると考えている。

(1)グローバルの様々な金融市場全体に分散投資するという普遍的、本源的な運用知識とは何か?

その概要について触れたい。

普遍的、本源的な運用知識とは、『金融市場(全体)は、どのように機能し続けているのか?』についてのマクロから正しく理解することである(個別銘柄の良し悪しや、その時々の投資環境の良し悪しなどは、ミクロの問題、枝葉末節な問題であって、長期的な資産運用における重要性は極めて低い)。

 つまり、グローバルな株式市場(全体)、REIT(不動産)市場(全体)、債券市場(全体)を投資対象と捉えた時に、各市場(全体)がどのように機能しているか? を知ることが最初のスタートラインとなる。

 例えば、ミクロの視点からみれば、株式投資、REIT(不動産)投資、債券投資は、それぞれ企業のオーナー、賃貸物件(物件を保有管理するREIT法人)のオーナー、債券発行体の債権者になることを意味する。しかしながら、それと同時に、投資家が選んだ企業、賃貸物件(物件を保有管理するREIT法人)、債券発行体がハズレであるリスク、投資が継続できなくなるリスクを負う。

 多少は投資を分散していると言っても、似たような業種が発行体ばかりだったり、同一国籍の発行体に偏ったりする状態では、投資がハズレであるリスク、投資が継続できなくなるリスクは十分に拭い去れない。

 しかしながら、マクロの視点から、グローバルな株式市場(全体)、REIT(不動産)市場(全体)、債券市場(全体)を投資対象と捉えた場合、ミクロの視点とは全く異なる景色が広がる。グローバル株式市場(全体)を保有することは、世界中の何万という企業の経営者と従業員の全てが、あなた(投資家)の為に企業利益を追求し続けてくれることを意味する。また、グローバルREIT(不動産)市場(全体)を保有することは、何万~何億人という賃貸物件を借りている法人と個人があなた(投資家)の為に支払いを続けてくれることを意味する。グローバル債券市場(全体)を保有することは、何万という発行体があなた(投資家)の為に利払いと元金の償還を続けてくれることを意味する。

 つまり、資本主義経済が終わって、物々交換しなくてはいけなくなれば話は別であるが、マクロでみて『金融市場(全体)は、どのように機能し続けているのか?』が正しく(あるいは凡そ常識の範囲で)理解することができれば、その投資がハズレであるリスク、投資が継続できなくなるリスクを限りなく小さくできることが判る(詳しくは、拙著『非営利法人の為の資産運用入門』の第4章、第5章を参照されたし)。

 更に、金融市場(全体)を投資対象とするので、個別銘柄投資の際の【1.必ず主観判断が入り込む】 【2.個々の発行体の財務状況はどんどん変化する】 【3.個々の発行体の詳細な財務情報の収集、そのフォローは大変な業務負荷であり、法人には事実上不可能である】【4.主観に基づいた個別銘柄とその取得保有の背景となる考え方を後任の運用担当や役員へ引き継ぎすることは困難である】という問題が発生する余地もない。

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