2019.08.17
つぶれる恐怖
Facebookコラム粟津 久乃
つぶれる恐怖
公益法人を訪問していると、よくみられる2つのケースがあります。 ①安全性を重要視して、国債や社債などを多く保有している公益法人 ②仕組債などを多く保有し、残りは①を保有する公益法人 ①②だけを保有している場合、物価連動しない上に、金利低下などで、毎年度の収益も減少し、厳しい局面が訪れているでしょう。債券の利金収入で事業を行っているならば、、年間収益は年々減少し、予算通りに事業を収めることが難しいはずです。例えば、教育機関などは人件費や建物の建築費などが高騰した場合、長期で公益法人の理念を維持するためには、難しくなってくる場合もあるかもしれません。
一方、信用リスクに焦点をあてると、大きな金融環境の変化の中で、公益法人の資産への毀損がありえないとはいえないかもしれません。 今、多くの金融機関が決算を迎えておりますが、金融機関でさえも、決算内容は大きく変化しております。 収益構造を変革し、大きく収益を上げていく金融機関もあれば、決算が厳しくなり、発行体のリスクが高まるケースもあります。
それらの信用リスクを公益法人の運用担当者が、長期に渡って、それぞれの金融機関の決算を分析し、管理していくことはかなり難しいと思います。
信用リスクを低くするためには、債券においても、幅広い全世界への分散投資が行われているかが需要かと思います。
テーマにした、「潰れる恐怖」と戦っていると述べたのは、某大手証券の役員でした。
発行体になりうる金融機関においても、収益構造の変革が求められています。プレーンな債券は
もちろん、仕組債なども、一つの金融機関が発行体である債券を大量に保有することは、なるべ
く避け、公益法人の長期的な運営への健全化に努めるべきではないかと思いました。
今、発行体の分散が不可欠な時代となってきたと思いますし、年度の収益確保が長期に渡って
確保できる仕組みになっているか、本当の意味での元本が長期に渡って購買力を維持できて
いるか、考えてみる必要のある時代となってきたと思います。