2020.01.01
30年間でマーケットはどう変わったのか
Facebookコラム粟津 久乃
『30年間でマーケットはどう変わったのか』
新年明けましておめでとうございます。
年初最初のコラムですので、過去を振り返ってのマーケットの変化を観察したいと思います。
こちらは、日経平均の時価総額上位30社の比較です。
企業の変遷は面白いですね。銀行の統合が相次いだのもありますが、残った企業は6社です。統合が多いため、1989年のデータを35社まで増やしたとしても、7社しか残っていませんでした。
30年という時間の中でどの銘柄に投資をしていたかで、運命は大きく違いますよね。
ちなみに、9位の東京電力に投資をした方は、1989年1月の年初株価は、終値7410円でスタートし、2019年11月末の終値は、480円でした。
30年かけて、なんとマイナス93.5%です。
一方、トヨタに投資を続けて人は、1989年1月年初株価の終値2570円でスタートし、2019年11月末の終値は7638円でした。プラス297%でした。一つの銘柄を選ぶことは本当に難しく、まして地震などの天災を予想することなど不可能です。
では日経平均全体に投資をしていたとしたら、どうなっていたでしょうか?1989年12月の大納会は記憶に残る株価だったのではないでしょうか。
その価格は、3万8915円でした。2019年11月末の終値は23,273円です。
なんと、おおよそマイナス40%です。
ただ、日経平均に投資をしていれば、常に配当として2%ほどの収益をあげられています。
株が悪くなって、業績悪化で減配となっても、上位に投資をしていれば、常に一定の配当を得られていたのです。
平均2%の配当を手にしていると、30年で大きな資産も得ることもでき、これでマイナス40%を超え、プラスに転じることになるのです。
配当を積み上げる効果の凄さも実感できるかもしれません。
ただ、株価自体がマイナス40%は辛いと思われる方も多いかもしれませんね。
しかし、それは一国に投資をしていたからであり、次を見てみましょう。
こちらはアメリカのダウ工業平均です。こちらは30社で構成されています。
2018年6月にGEが除外されたことで、NYダウがスタートした1896年当初より継続して採用された銘柄はなくなりました。直近30年でも、残った企業は、11社です。
NYダウというものは、アメリカを代表する優良銘柄の集合体でありますが、時代により優良銘柄が異なることは、日経平均と同じであり、その変化は大きいですね。
それも特徴として現在の銘柄構成のうち、半数以上が過去20年以内に新規採用されたものであり、新しく育った企業だということです。
こちらも日本のマーケットと同様に、どの銘柄が残り、成長するかを予想することは非常に難しそうですね。
ではNYダウ自体に投資をしていたら、どうなっていたでしょうか?
1989年の1月のNYダウは2168ドルでした。
2019年11月末のNYダウは、28051ドルでした。30年でおおよそ12.9倍です。
更にいうならば、こちらも保有し続けていれば、安定的に、毎年平均2%の株式の配当も享受できたのです。
日本だけでは、マイナス40%ですので、投資は非常に厳しいものになりますが、世界に分散投資していれば、少しでも高いリターンを得られていたはずなのです。
銘柄を変えず、そのまま投資を続けても意味はなく、常に、全体の時価総額に応じて、投資対象を変える必要がありました。しかしこれを個別に行うのは難しく、単純に全体の平均値へ分散投資を行うだけで、安定した収益を上げることが出来るという意味は重要なことかもしれません。