2020.12.19
WEBセミナー「債券ETFと債券投資の未来」
弊社代表が、ブラックロック・ジャパン主催のWEBセミナー
「債券ETFと債券投資の未来」(2020年11月27日)に登壇しました。
『公益法人や学校法人などにおける実践的な債券ETFなどの活用事例』を
インタビュー形式で5つの質問に以下の様にお話させて頂きました。
①インディペンデント・フィデューシャリーの事業内容について教えてください
弊社は学校法人・財団法人などの公益法人様向けに投資助言のサービスを提供させて頂いております。
今年で設立13年目になります。
インディペンデント・フィデューシャリーという社名の由来ですが、
2つ意味がありまして、
1つ目の意味は、弊社自身が中立な立場で独立し、お客様に受託者責任を果たすという意味です
もう1つの意味は、弊社のお客様である学校法人・公益法人様自身が自立して、
法人様自身が受託者責任を果たしていただくことをお手伝いするという意味です。
②公益法人の資産運用:運用面においてどのような点が重視される傾向にありますか
弊社クライアントの投資目的ですが、大きくは2つあります。
1つ目は安定的な経常運用収入です。
これは教育・公益事業の裏付けとなり、決算利益をサポートするものとなります。
2つ目は長期的な運用資産価値の維持・成長となります。
ですので、株式、REIT、外貨建て債券、円債や円ヘッジ債券を組み合わせた
グローバル分散ポートフォリオを構築するようなスタイルになります。
特にこれらの投資家様は、運用期間が超長期、言い換えると、半永久的(10年、20年、50年超)になります。
その間に、様々な市況の変動、投資環境自体が少しずつ変化してゆきます。
長期的には投資環境が大きく変化をすることが珍しいことではありません
そのため、役職員・運用委員などの関係者の任期や、人事異動サイクルを超える、
長い運用期間となり、会計制度や決算への配慮も必要となります
以上のような半永久的な資産運用においては、
組織として理解、管理できる範囲に運用内容を留めることが、
組織として説明性、一貫性、継続性の保持に繋がると考え、配慮しております
③公益法人の資産運用:債券ETFに投資対象を拡げる法人が増えている背景を教えてください
もしも、日本国債の利回りが今、3%あれば、公益法人様は東証上場ETFには投資をしていないのではないかと思います。
しかし、現実には、国内の国債利回りは低下しております。
個別社債を買われたり、ちょっとリスキーなお客様だと、仕組債を買われたりする法人も多いのですが、
実際は、国債の利回りの低下の代わりとして、
今、公益法人様にとって、消去法的に残るのが、為替ヘッジ外債となると思います
対象は国債⇒超長期国債⇒投資適格社債⇒ハイイールド社債⇒ドル建て新興国国債
にまで範囲を広げて分散投資しないと、利回りが取れないような状況になっています。
以前でしたら、例えば米国国債だけでもかなりの利回りがありましたが、
ご承知の通り、今は利回りが1%を切る状態なので、
債券の投資対象(β ベータ)を広げなければならないという中で、
消去法的な方法かもしれませんが、東証上場ETFに投資をしているというのが現実となります。
④公益法人の資産運用:どのような債券エクスポージャーの獲得にETFが利用されていますか
ニーズの多いエクスポージャーですが、基本的には、為替ヘッジ付外債になります。
日本国債の利回り低下に伴う、代替的な投資として始まり、
当初は、米国国債や投資適格社債がかつてはエクスポージャーの中心でした。
昨今、それらの利回りも凄く下がっており、
補完する意味で、最近増えてきているのが、
他の債券市場(β ベータ)にも投資を広げることであり、
ハイイールド社債市場、
ドル建て新興国国債市場、
あるいは米国国債でも期間を延ばした超長期の米国国債
などのエクスポージャーが近年増加傾向にあります。
そうしないと、学校法人・公益法人としての目標とするイールドがなかなか取りづらくなっているのです
⑤公益法人の資産運用:債券ETFのどのような点が評価されている、または改善を求められていると思われますか
メリットですが、まず3つ挙げられると思います。
1つ目は、 低コストかつ容易に、金融市場全体あるいはベンチマークインデックスと
同様の分散投資ができること、並びに、同程度の利子配当利回りが獲得できるという点です。
この低コストとは、ETFの信託報酬だけでなく、
そのファンドに組み入れられている個々の債券取引コストも節約できると考えています。
個別の銘柄を買う時、こういったETFを使えばプロ同士の条件で債券取引をして頂けるということがメリットです。
2つ目は、やはり低コストかつ容易に為替ヘッジを選択できることにあります。
円ヘッジをするETFは世界を探しても、東証上場ETFだけであります。
3つ目のメリットは、弊社の顧客で使うやり方ですが、大口の取得・解約も非常にスムーズで容易であることです。
指定参加者である証券会社を通じて、ETFの発行市場で、
設定・解約取引を申し込めば何十億円でも瞬時に出し入れが可能であります。
改善点といえば、長期的な課題になるかもしれませんが、
流通市場、取引の出来高などが、まだまだ大きなボリュームを消化するには足りない点、
あともう1つは、ETFの運用会社へのお願いですが、
ETFのディスクロのファンドの中身や、利回り・ディレーションは準備されていますが、
ETFのベンチマークインデックスの中身とETFの中身を比較できるようなディスクロがあれば
投資家にとって投資家フレンドリーであり、ありがたいかな、と感じます。