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2021.03.09

法人資産の運用を考える(29) 法人が負っているフィデュシャリー・デューティー(受託者責任)(6)  まとめ 不完全・不確実を大前提として、全ての辻褄が合っていること、矛盾なく法人自ら説明できること

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

個人資産の運用など、自分の為に自分のお金を運用する場合には受託者責任は問われない。

しかしながら、他人の為に他人のお金を運用管理している場合は全く異なる

 

前回は、法人がその資産運用について負っている

受託者責任とは、

厳密な結果責任には成りえない

成果・結果に至る意思決定のプロセスとその「質」問えない

ことを説明した。 

今回法人の資産運用と受託者責任との関係、構造についてまとめとしたい。 

一言で言えば、

どんな資産運用においても避けることのできない不完全性・不確実性を

大前提として、全ての辻褄が合っていること、

矛盾なく法人自ら説明できることである

矢印, 曲線, トレンド, 成功, 方向, 右, 次の, 方法, 手, ペン

全てとは、法人の運用目的から、その為の運用施策、運用実施後の管理までの、

一連の整合性である。 

まず

(1)将来については、「誰も判らない、コントロールできない」

「どんどん移り変わってゆく」

「完璧・完全な運用など存在しない」

とい常識的な前提に立てることが、受託者責任を果たす上での出発点となる。

だから、これらの基準に対して常識的に考えて矛盾するような、

外部のプロ専門家からの提案・金融商品・分析あるいは、

内部担当者などの思い込みに、盲目的に依存してしまうと、スタートから躓くことになる。 

(2) (1)基準・制約条件のもとで、法人は運用目的・目標に

近づけてゆかなくてはいけない宿命を負う

どうすれば法人事業の受益者の利益になるべく反しないような資産運用が行えるか? 

また、長期的な視野からも、べく法人に適した資産運用の姿とはどんなものか?

(=現在の受益者の利益だけでなく、将来の受益者の利益にも貢献できるよう、

超長期にわたって法人が継続・説明できる資産運用でなくてはいけない 

(3) (1)の基準・制約条件と(2)の運用目的・目標とを整合させうる

具体的な資産運用施策とそれの実施後の管理施策とは、どのようなカタチか? 

 

つまり、(1)の基準・制約条件のもとで、(2)の法人として

目指さなくてはいけない運用目的・目標に対して、

(3)の完全・完ぺきではないが(そもそもそういうこと自体が世の中には存在しないが)、

かかる制約条件のもとで、どのような考慮・配慮を元に具体的な施策を

選択・実施したか(しているか)。

このような一連の全ての意思決定の辻褄が合っていること

それらを矛盾なく法人自ら説明できることこそ、受託者責任の「本質なのである。 

だから、このような「本質」を理解しようとしないまま

法人の担当者や外部のプロ専門家に運用計画や運用執行・管理、その説明まで

一切を“丸投げ”し続けること、法人としての責任放棄なのである

一連の辻褄整合する資産運用とその管理の考え方については、

拙著『新しい公益法人・一般法人の資産運用』や、弊社ホームページに掲載のコラムをご参照されたい) 

 そして、これら全ての辻褄が合っているか、矛盾なく法人自ら説明できるかどうかは、

誰もが備えている一般常識を働かせることで判断・チェックできるものでないといけない。

更にようなチェック基準は、法人の普通の役職員が、

内部の担当者や外部のプロ・専門家についてチェック / 監督責任を

果たそうとする時も全く同じなのである 

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